ふみのや ときわ堂

季感と哀歓、歴史と名残りの雑記帳

まどのそと

 

まえの犬パトラッシュは、庭にいました。
ちいさい犬とちがって、大きかったからです。
おおきいこは、おうちにいれてもらえません。
夜、人間が、どこかのまどの近くにいると、なにか物音がします。
人間はちいさいので、敵がきたのかと、ちぢみあがります。
カーテンをあけると、くらやみに浮かびあがるパトラッシュが。
人間がうごくと、パトラッシュも、いちばん近いまどにいきます。
まどからまどへ、いきます。
パトラッシュは、人間のそばにいたかったです。

(愛犬ホームズ著『犬のかなしみ』より)

▲桃がさかりです。七分咲きくらい。つぎはさくらです。