ふみのや ときわ堂

季感と哀歓、歴史と名残りの雑記帳

noteへの引越しのおしらせ

ここを見てくださっている、ありがたいみなさま
長らく放置しているのに、今ここを目にしてくださっていて、ほんとうにありがとうございます。
両手をつかんで、上下にふりながら、ありがとうの気持ちをエアーでお伝えしたいと思います。
エアーで受け取っていただけたらうれしいです。

しばらく前から、noteに引越ししています。
(はてなブログの写真が、その時期から長らく表示不能になったため)
更新頻度にはムラがありますが、noteのほうでまたお寄りいただけると喜びます。
noteコメントやTwitterなんかで、お声をかけていただけたらとてもうれしいです。

ふみのやときわ堂 文乃


https://note.com/fuminoya

高野山のふるい登山道で森林浴をしたら、天狗風を見た。

高野山の奥の院より奥、ひとけのまったくない登山道のはずれで、人間が転がっている。
ぴくりとも動かない。
拝観してランチをしたあと、思い思いの場所に散らばった。
それぞれ大きなレジャーシートをひろげた。
そこで寝転がったのだった。
まっぴるまから、道に。

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近くのふたりは、ねむっているようだった。
下草が高いから、すこし離れたところにいるふたりは見えないけれど、人体がうごかない。

カメラ好きのひとりが、静かにとなりの道をあるいていく。
大きなカメラを首からさげて、笑顔で手をふっている。
こちらも声はださない。みんなねむっているから。

あたりを見る。鳥の声がする。
クルクルと、きっぱりとした高音がする。
右手だろうか。
仰ぎみるスギ林に、すがたはみえない。
応じるように、より細い声がする。左手奥。
全身を耳のようにする。ここちよい音しかしない。

冴え冴えと、聴覚に集中する。
音の遠近から、位置がわかるだろうか。
人工音のなかではしようともしないことを、試みる。
あたまのなかで、半径円をえがいて、鳥をスポットする。
せせらぐ音がしている。
この音は、川なのか、滝に近いのか。
何本あるんだろう。2本…いや3本か。
くだけて、ころげおちていく。
小さい音は、より段差がすくないのだろう。せせらぐ音に近い。
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ときおり、虫が旋回していく音がする。
ひとに興味のない虫なのか、回遊してとおりすぎていく。

てのひらでひとまわりするくらいの太さの倒木が、間近にあった。
まだらに苔が覆ってある。
塗りこんであるわけでも、置いてあるわけでもない。
倒木を隠すように。とりこむように。のみこんでいくように。
下草の高さのぶんだけ、この木はさらされている。

ごくりと喉を鳴らす。かわいているんだろうか。ペットボトルをあける。

つぶつぶ入りのオレンジジュースが、けた外れにおいしい。
声をあげてしまいそうなほど、人体にしみいった。
むさぼるようにのんだ。
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轟、と、うなる音が遠くからした。
正体はわからない。

目を細めた。
天高く、視野ぎりぎりの針葉樹が、乱暴にゆれだした。
横に大きくゆれている。
轟音がする。ざわめきとはいえない。
なんだろう。
おどろくほどのろのろと、近づいてくる。
しかと目で追えるくらい、いぶかしむ間があるくらい。

はたと思う。風は、こんなに遅いだろうか。
飛行機は、こんなにゆらすだろうか。
小鳥たちのはやさでも、狩りをする動物のはやさでもない。
けっして速くは走れない、ゾウのような。
よばれるように、針葉樹のゆれが近づいてくる。

低木がよばれ、下草がよばれ、シートがめくれた。
目で追っていると、日傘が1メートルほど飛んでいった。
いまのはなんだったんだろう。
ひと風、とおりすぎていった。
風とは、こういうものだったか。
しかと目で見える遅さで、木の葉をかきわけ、進んでくる。

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ふと、ひとけがあった。
巡回なのか、さんぽなのか、撮影なのか、カメラマンの友人がまた通過していった。
無言に笑顔で、手をふった。

レジャーシートの下は、木っ端や岩が、ふぞろいにうまっている。
寝転がると、人体のあちこちに接触する。

ときは14時、丈高い木々に隠れているために、直射日光にあたらない。
でも、めざましくあかるい。
にもかかわらず、とどめおけない眠気がしみてくる。

次の瞬間、1時間が経っていた。
ねむってしまっていたようだった。
からだが冷えこんでいる。
友人と思われるかたまりは、微動だにしていない。
もうひとりが手に延べている、スマホのスクリーンが光った。

起きあがっていま、この文章を打っている。
キーボードを打つ手は白く、指さきはつめたい。
14時から15時になっただけで、こうも温度がさがるのか。

 

しばらくすると、広葉樹のほうに散っていったらしい、ふたりが、連れられ合流してきた。
みんな起きて、レジャーシートのうえで、雑談した。
あっという間に、17時前になってしまっていた。
この現代において、だれの電波もなかったので、アナログな約束をしていたのだった。
車をおいたところに、17時。

そう、ひとりがいないのだ。
だれもが首をふる。見かけなかったと。
すこし急ぎながら出口近くにむかうと、遠くでだれかが手をふっている。
神隠し疑惑だった、そのひとだった。
3時間ものあいだ、目撃証言ひとつなかったのに、登山道をかけあがり、ぜんぜんゆるくない登山をしていたらしい。ひとりで。

このあとみんなでカレーをたべて、名高い夕陽スポットで写真をとって、だれもいないケーブルカーで下山した。
朝よりも帰りのほうが元気になっているという、得難い経験だった。
高野山の癒しのパワーすごい。
おきていられず、おとなが、ガチで寝た。
外で。まっぴるまに。

あの、おそるべき遅さの風は、なんだったんだろう。まだねむっては、なかったはずなのに。
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人事ブラックジョーク――表に出していいのかギリギリのラインをむだに狙う。

NGそうな気配を察したら、しれっと消します。
人事はこんな感じだよ~~という生のすがたをお見せできればと。

内定電話ブラックジョーク

内定電話は、わたしたちのしごとのうち、ハッピーな方である。
まず喜んでもらえる。
たまに断られるけど、むこうの気持ちが一気にあがって、こっちもうれしい。
こちらも気持ちをあげめに、にこやかに、弾むように。
たとえ断られたとしても、笑顔で残念そうに、感じよく。
(でも、いまからする内定電話は)
受話器に手をのっけて、首をひねった。
この人事は、待遇が悪い。
このひとにとって、いまの職場のほうが待遇がいいの、わかってる。
このひとは56歳、定年ぎりぎりなので、退職金にかかわってくる。
となりの席に、声をかける。
「給与って、聞かれなければ、いわなくていいですよね」
むかいの同僚がにやにやしている。
「いまのところで定年3年残して自己都合退職、年俸も100万くらいさがり、500万円くらい損しますけれどね」
4人でためいきをつく。500万は高い。
「でも、承諾書、書いてもらったもん勝ちですよね」
「サインしたらおわりですね」
「むこうで退職届をだしてしまったらね」
「ははははは」
「ははははは」

その後、第2声くらいで、給与を聞かれました。笑 
お金だいじ。とてもだいじ。
みなさん、ちゃんと聞きましょう。
そして内定承諾もいただきました。よかった。

労災ブラックジョーク

上司がぴらりと、紙を見せた。
「ハラスメント対策室長だったあのひとの診断書、でてきたよ」
病名、適応障害。
入院と書かれている。
「メンタルで入院するって、よっぽどですよね」
上司が片眉をあげた。
「犠牲者だな」
このことばをいいたかったんだとばかりに、静かにいった。
「クレームばかり、受けまくってたから」
話に同僚がまざってきた。
彼は、あまり表情がかわらない。
「課長は、ハラスメントにいたことが原因だってこと、わかってるんですか」
「わかってない。また人員減らそうとしてる」
「狂ってる」
上司が長いまつげをしばたたかせた。
「きのう思ったんですが、ひとりくらい死なないとだめですね。ちゃんと、室にいたことが原因だって、遺書に明記してもらって」
「俺もきのう思った。文言のこしてもらわないと。名前のところは自著、押印で」
「ジョークがブラックにすぎますね」
「ははははは」
「ははははは」

どのへんが人事ジョークかというと、自著押印と、証拠をのこそうとしてるあたりです。
あれ、おもしろくない?

ハラスメントジョーク

相手方があって、場があって、ぼろぼろに叩かれたわたしたち。
長時間、ものすごく口汚く罵られた。
職務とはいえ、面とむかって、怒りや蔑みをぶつけられるのは、なかなかにしんどい。
「あのひと、なんであんな言い方をするんですかね…」
ハラスメント室が、目を細めた。
「あのひとはね、パワハラとセクハラで訴えられてるよ」
「え、セクハラですか」
「主にことばね。『君に溺れてお手上げなんだ』とか、『僕を狂わせてどうしたいんだい』とか」
みんなで絶句。
「あの場で、ふと思い出して、読みあげようかと思った」
「ははははは」

あれ、おもしろくない?
ブラックすぎた?
人事的日常はこんな感じです。


▼殺伐としてるので、癒しの画像をひっぱってきました。アマゾンさんいつもありがとう。君はなんでもマイルドにつつみこんでくれるね……

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砂漠の自販機を探す:葬儀場で、遺影を和服に加工して、親族家の数だけ刷る。

ブルーオーシャン。
つまりは、未踏の地。
ただただひろがる、澄んだ青。
激戦の浜辺をぬけた、だれも商売していないところ。
血ぬられた岸辺では、ないところ。
はるかなる大洋。

だたし、このごろは、安価な技術で到達できるので、障壁が低い。
スペイン王族に頼みこみにいかないと、航海できない時代じゃない。
コロンブスが、卵を割ってみせる必要もない。
ちらっと体験して、ちらっとやってみればいいだけ。
すぐに似たものがでてくる。
コロンブスみたいに、命をかける必要もない。
マゼランのように、ほんとに死ぬこともない。

そう、マゼランは死んだ。

話は、現代の葬儀なのである。
親族の葬儀なのであった。
故人は卒寿、デジカメでとった、よさげな写真なんてない。
ほほえんでいる集合写真を、葬儀会社にさしだした。
するとびっくり!
いい感じにひきのばし、
いい感じに背景を消して、
着てもいない和装をさせた遺影ができあがってきた。
A4くらいの大判。
いい仕事!

データをいじるのも、和服をきせるのも、少し知識があればできる。
わたしもやろうと思ったらやれる。
でも、
仕事を休むために引継ぎして、
家族をひきつれ、
親族をよびよせ、
その宿を考えて、
なれぬ場所で起居しているなかで、
「〇〇円でします」といわれたら、たのむ。
だってのどが渇いている。
ここは砂漠。もうライフはゼロ。

しかも、焼き増し、5千円。
葬儀用の一枚はあるので、もってかえって、写真屋におもむいたら、焼き増しはできる。
そっちのが安い。
でも、ここは砂漠。
親族の住処は、てんでばらばら。
ひるがえって、わが身はくたくた。
のどがかわいた。多少高くても、お水がほしい。
ああ、お水。早くのみたい。
あとで郵送することを考えたら、なれぬ場所で疲れている脳は、さらっと5千円をさしだしてしまう。
砂漠でならエビアンにでも、5千円払える。

とはいえ、画像をいじるのは、人間なので、自動販売機ほど、設置したらノータッチでいいしろものではないけれど、いいぐあいの砂漠だなと。

そして、すぐ真似できるので、ブルーオーシャンではないかもしれない。
が、すくなくとも葬儀場でさしだすというのが大きいので、真似できるところも、葬儀場に限られる。

なかなかいい商売だなあと、葬列にあって思ったので、ここにご報告する次第です。
わが家では、いい感じの単独笑顔写真がとれたら、「これ遺影ね」指定してます。

 

▼遺影の額縁をいれてみたら、なんとも通夜通夜しいサムネイルになったので、隠喩程度の画像をさがしてきました。一本下駄とかのほうが雰囲気でたかな。

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人事的裏側──かなりキツいご指摘を受けたひとに、懲戒案件で再会する。パワハラで訴えられている。

あんまり書いていて、ハッピーな話ではないんですが。
人事は、裏が見える。
なので、みなさまのご参考までに。
ややこしいな、なんか私悪いこと言ったっけ? 対応おかしかったっけ? と思うようなひとは、どこかで再会する。
それっぽいところで。

だいたい、なんらかの苦情受付で。

今回、つくづくそう思ったのは、あまりにこじれまくり、訴えたひとも荒れ狂い、リアル訴訟になりかけている案件で、見覚えのある名前をみつけたからだった。
名前をみた瞬間、ああ、と思った。

思い起こせば、5年前。
運営上どうしてもでてくる間隙のミスで、そのひとが激怒した。
怒り狂ったメールがきた。
なにがなんだかわからなかったが、他課と前後策を決めた。
3行に1回、謝りたおすメールを送った。
また怒り狂ったメールが、はねかえってきた。
すごい。
長文メール。
ぜんぜん消火してない。
さらなる炎上!
しかもセルフ。

上司からは、「もう放っておきなさい」といわれた。
返事もしなくていいと。

なにかの会議のおりに、そのひとを見かけた。
顔色はわるく、青いというより黒かった。
髪はざんばら、眼は落ちくぼみ、せわしなく左右していた。
身は縮こまり、堂々としたところは、ひとかけらもなかった。
細く、あまりに頼りなかった。
背景の、クリーム色の壁ごと、覚えている。
クリームの壁に負けるくらいの存在感だった。
あんまり文面と違うから、気がそがれたんだった。
活発でひたすらに強気な文面と、ゴミ捨て場の亡霊のような存在感と。

そう、あの人だ。

ハラスメントとして、訴えられている。
もっというと、リターンを受けている。
さらにいうと、因果はめぐる。報いをうける。
訴えたほうは、積年のうらみのごとく、どうしようもなく燃え盛っている。
なかなかすごい。
いったりきたりしているメールをみると、どこから薪がくべられるのか、鎮火の気配はすこしもみえない。

それをみて、一周まわって思う。
もし、思いもかけないクレームに出会ったら、右から左に流そう。
そのひとは、そういうひとなんだ。
あなたは、なにも気にしなくていい。
他人は、あなたの影響の輪の外。
あなたの幸福度に、影響させてはいけない。

 

▼話題が重いので、ハートフルなものを探してきました。Amazon有能。かわいい。

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就活の謎伝承を解読──採用担当は、某巨大掲示板をみているか。答え、自分の会社のは見てる。本人のSNSチェックもしてる。

就活生のかきこむ自社スレッドは見てる?

みてる。
特に採用の時期はみてる。
さらにみんなで、たのしく話題にしてる。
何年か前に、会社説明会のときに呼んだ新入社員がやらかしたらしく、スレッドが炎上したらしい。
採用の時期になったら、いまだに話題になって、たのしんでる。笑

そういえば、このまえ担当者が、追加公募をあげたあとに、スレッドをみにいっていた。しょんぼりしてた。
「ぜんぜん話題になってない…」
「もう時代は、巨大掲示板じゃないんだよ」
「インスタ検索したらあるかな」
「絶対ない」
「映えない」
話題にされたい人事。

本人のSNSは、チェックしてる?

してる。
業務として、してる。
内定だすまえに、毎回してる。
することになってる。
みなさん、カギをかけましょう。笑

とはいえ、「危険人物を発見する」程度の目的。
起業マインドにあふれていたら、評価をあげるとか、仲間をだいじにしてリーダーシップを発揮してそうな記事をさがしたりとかは、しない。
だから、面接官に見られる用の本名ブログとかはいらないように思う。
(わたしのともだちは昔つくってた)
あくまでこちらに提出しているESや面接で一律判断する、という趣旨。
ESでライン以下だった人を、ひろったりはしない。
おそらく、提供されているものですでに差別化できるからかなと思う。

で、でも、実はヤバいやつには気づきたい人事ごころ。
何年か前に、ほんとにいたらしい。
危険人物が。
ひっかかった、本名ツイッターがすごかった。
罵詈雑言が、ひどかった。
バイト先の愚痴、大学への批判、あきらかにもう激しかった。
そのときの担当者、忙しすぎて、SNSチェックが遅かった。
もう内定電話してしまってた。
ヤバい、どうしよう。
発見して、青くなる。
係内で、ツイッター回し読み。
ざわざわしていたら、となりの係も興味津々。
みんなで確認しあう。うん、これはやばい。劇物。
どうしよう。部長に相談するか。
課長に相談していたころ、内定辞退電話がかかってきた。
よかったー。
一同、ほっと胸をなでおろす。笑

というわけでみなさん、SNSには、カギをかけましょう。笑


有名大大学生がなにかやらかして、某巨大掲示板が炎上しまくっているとき。
たまに謎のかきこみがある。
「上場企業の人事です。〇〇大学の学生を、チェックします」
これってありえる?

ないない。
さすがにそこまでしない。
組織としては、しない。
職務命令で、大学生の事件をすべてを拾いあげることはしない。
手広すぎる。
なら、個人としてはどうか。
デメリットしかないと思う。
おもしろがって、ほんとの人事が書いたとしても、もし職場にばれたとき、なんて答える?
だって、職場のパソコンの挙動は、監視されてる。
常時チェックしてる人員なんていないけど、ログはのこる。
へんなことはしたくない。
となると、職場パソの選択肢は消える。
のこりは、マイスマホ。
つかれてるサラリーマンが、マイスマホで、短い休み時間に、炎上に薪をくべにいくか。
よっぽどキャンプファイヤーが趣味なら、ありえるかもだけど。
だいたいはリラックスしたい。
やすみ時間くらいゆっくりしたいのは、みんなに通じるひとの性かと。
だから人事が、某巨大掲示板に書くことは、まずない。
想定しにくい。
それに関連して、次の問い。

おなじ大学の学生がなにかやらかすと、面接に悪影響がある?

ない。
やっぱりない。
メディアのインタビューでたまにみる。
おなじ大学の就活生が、「心配です」といっている。
こういうの、自分が就活生だったら、不安に思う気もするけれど。
てきめんにその大学名が下がるかといったら、そんなことはない。
面接官内で「いま話題の」というかもしれない。
ないとはいっても、潜在意識にのこってることは否定できない。
でも、そういうのは1%くらいにすぎない。
本人をみたい。本人がどんなひとかしりたい。
目の前のひとが、はいってくれたらどうなるか、想像したい。
だから気にしなくていい。

内定辞退の話をしていたら、内定承諾までの、内定者との駆け引きを思いだした。
それはまた別記事で。
ここまで読んでくださって、ありがとう。
(すごい人事っぽい発言)


▼本物のキャンプファイアーはたのしい。みんなで火を見てるとおちつく。アマゾンにいってみんなで焚火をかこもう。とるとかとらないとか評価とか、そんなのない世界にいこう……笑

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空の空、空の空なる哉、都て空なり。と、我が脳内のストレングス・ファインダー内省さんが、いい声で言った。

年度末の人事は、殺伐としている。
そのなかで唐突に、脳内の内省が声をだした。
内省さんは、賢者なので、朗々とした美声である。
こういう意味である。
「虚無の虚無、虚無の虚無なる哉、すべて虚無なり」

共感性さんが、あわてる。
「やばくない?だいじょうぶ?」
もうひとりの共感性さんが、わけしり顔で頷く。
「英語版のvanityは、唱えてると、絶対あたまおかしくなるよ」

Vanity of vanity, all is vanity.
Vanity of vanity, all is vanity.
Vanity of vanity, all is vanity.
Vanity of vanity, all is vanity.
Vanity of vanity, all is vanity.

5回書いただけで、クレイジーな風味を発してくる。

着想さんが、突然、目を煌めかせた。
「色即是空は、すばらしい」
おなじ文字からの連想である。

左様、と、自分が思いついたわけでもないのに、内省が頷く。
内省は、ナチュラルに着想にのっかる。
収集心にものっかる。
もらったアイデアや情報を、とりこんで、ぐつぐつ煮立てるのが得手である。
内省はいう。
空即是色、どんなことも、移り変わりゆくのだ。
空は空。虚無は虚無。そうなのだ。
そうやって移り変わり、晴れわたってゆく。
心無罣礙。
さまたげのない心に澄み渡りゆく。
わたしたちができることは、その真理のまえに、跪くのみ。
一切我今皆懺悔。
(内省の勝利)
(年度末の人事の精神状況をお送りしました)

 

▼自分の内面を34つに分割して、名づけて、飼いならす方法の書

さあ、才能(じぶん)に目覚めよう 新版 ストレングス・ファインダー2.0

 

▼色即是空は般若心経。空の空は、伝道の書です。

色即是空

 

人事的日常――変な時期の採用は、ブラックに思われないか心配する。からの、死亡退職。

*変な時期に採用する話(1月に4月採用)。

同僚 「この時期に、この募集人数、ブラックに見えませんかね」
上司 「業務拡大のため、とか、つけとく?」
わたし「改組のため、いっしょに改革をしてくれるひと募集!」
同僚 「やばさがにじみでてる」
みんな「はははは」


ほんとのとこは。
休職したひとたちが、帰ってこないからです……そしてまたふえた……
みなさま、おからだをおだいじに。


*人間ドック結果をだしたら、職場健診が免除される話。

上司 「なんでださないの? 健診うけなくてすむのに」
わたし「なんとなく嫌ですよ」
上司 「気にしなくても、人間ドック、悪い人いっぱいいるよ。このひと、もうそろそろ死ぬんじゃないかと、危ぶまれる人、けっこういるよ」
わたし「そっちですか」
上司 「だからだいじょうぶ!」

なにがだいじょうぶなのかわかんないが、みなさま、おからだおだいじに……

 

*そういえば、先日、死亡退職があったんだった。

話をきいて、びっくりして声をあげてしまった。
59歳。大動脈瘤乖離。
「携帯電話にかけてもかからないから、家の電話にかけたら、奥さんから、亡くなったと」。
うちは組織が大きいので、名前をきいてもピンとはこない。
だまって、人事システムを検索する。
異動記録ばかりで、履歴の入力がない。
しかたないので、紙媒体をさがしに、書庫へいった。
あった。
履歴書をめくる。
ハーバード大学、と目に飛びこんできた。
卒業後すぐに、バンクオブアメリカで働き、何回か転職している。
なにを思ったか、40代で来日。
家族欄には、「妻、犬2匹、金魚5匹」と書かれていた。
金魚。


人事はブラックなので、可及的速やかに離脱したいんだけど、人の人生の記録に接していることだけは、エネルギーをもらえる。
いや、ほんとは、定時で帰れさえすれば、全体的におもしろい。
定時で帰れさえすれば。
という、条件が、空集合でなければ。
∅。これ。

 

▼わすれられない履歴書の金魚。きっと採用時にみていたら、なんとも思わない。死亡退職時にみると、わすれられなくなる。その金魚ももう、死んでいるから。

吉田飼料 太鼓鉢 中

新任採用担当が、就活の謎の伝承を検証する。その1。

去年から、突然、採用担当になりました。
人事やばい。おわらなさすぎる。みんな社畜。
かえりぎわ、どこの階もライトが消えている。
多忙だから人増やせと、陳情にきた、その階のひとたちの胸ぐらを、つかみたくなります。どこがやねん。
急激に社畜化したので、健康状態を慎重にモニタリングしつつ、ふと思ったことを流しにきました。
新任人事の忘備録、就活のなぞの伝承をあらいながす。
就活のときに、学生のあいだではやった流言を、ふいに思い出しては、つっこみたくなったので、フレッシュなうちに書きこみたいと思います。

学生時代の謎の流言、いきます。

🔵ピアスホールを見ている。ピアスをつけているかではなく、穴をあけるひとかどうかを見ている。

マサイ族か。そんな眼よくない。
ホールがみえる位置は、30センチ以内だとおもわれる。その距離で面接することない。無茶。
めがねかけてるひとは、だいたいめがねかけても1.0みえてない。ふつうにむり。

一度、経験者採用で、でかいピアスをつけているひとがいて、面接官4人中2人が指摘したけれど、のこり2人は気づいてさえいなかった。
しかも、審査の対象は、全体の受答えで、ピアスは話題にでた程度。

🔵大規模説明会時、トイレで担当者といっしょになったら、あいさつすべき。

みんな似たようなかっこうをしているので、あんまり区別ついてない。
おなじ服きたリカちゃん人形が、たくさんいる感じ。
なんせ数が多い。
目立つ容貌でないとおぼえてない。
人事担当者、つかれてる。ねむい。いいこだなーとは思ってる。
逆に、ろくでもない雑談をきかせていなかったかと、脳内で巻きもどしする。
あんまりむりしなくていい気がする。
全力だすのは面接時で、それ以外はがんばらなくてもいいのでは、費用対効果として。

 

🔵たてものに入ったときから、見られている。

リカちゃん人形がたくさんいるので(略)。
全員の動きを、一瞬で把握して、記憶する特殊能力をもっている担当者は、そんなにいない。
あんまり超人はいない。
個人的には、ストレングス個別化6位だけど、人間活動にエネルギーがいるので、そこまでできない。
「きょう来てるひとたちは、なんだかキリっとしてるな」くらいは思ってる。
でも美男美女は覚えやすい。ことばを発してなくても、存在を発している。得だなあと思う。

🔵個別質問タイムで、人事部長ブースに突撃するひとは、とてもいい。
いい!とてもいい!!!
みんなから高評価。ほかのブースは20人近くあつまっているのに、人事部長ブースに1人だけのことがあった。
担当者大注目。それだけで名前や顔を覚えておくと、みんないってた。
会場全体をぷらぷらしていた上司が、そのひとが「ちゃんと手もとに質問を準備していた」といっていた。ガン見しすぎ。
受検者の質問内容にそんなに差はないので、突撃おすすめ。担当者、気概しかみてない(いいのか)。

 

▼人間がリカちゃんを識別する能力には限界がある。

リカちゃん ドール LD-01 だいすきリカちゃん ギフトセット

 

朱いろの小袖から、まっしろな手首がのぞいている。

手がみえる。
朱いろの小袖から、まっしろな手首がのぞいている。
手は、本をならびかえている。
島田に結いあげた髪がみどりに光り、眉じりがきりりとあがっている。
本棚のまえに、女が立っている。
二本のはずなのに、あんまり忙しげに手が動くから、千手観音のようにみえる。
女はせっせと本棚の本を、入れかえている。
唐突にふりかえった。
美貌である。目もとが、殊更あざやかだった。
あんた、とんだ散らかしっぷりだね。
しっかりしたようで、世話のかかる子だよ。
しゃんとしなよ、しゃんと。
ほら、こうじ果てるまえに、あたしを呼ぶんだよ。
ばかをお言いでないよ。
いいね、わかったかい。

口をはさむ間もない。
なにもいわないのに、見知らぬだれかがやってきて、かたづけて去ってゆく。
日常の些事を、言語化待ちの行列を、ぼうっと燃やして去ってゆく。
一掃して去ってゆく。
ちなみに今回、江戸時代のおねえさんがあらわれたのは、この本を読んでいるためである。

わたしが積年の本好きなのは、この見知らぬだれかの来訪があるからである。
彼らは明確に、おとなう。
平然とやってくる。
仕損じることもない。
あんたどうしたの、あたしが代わりにやってあげるよ。
なにぐずぐずしてるんだい。
さあ、げんきおだしよ。
あたしがついてるからさ。

 

あやかし草紙 三島屋変調百物語伍之続