ふみのや ときわ堂

季感と哀歓、歴史と名残りの雑記帳

歴史のはなし

カザフの英雄は、無選別に旅立った。

カザフの英雄が世を去った。ちょうど一年前。デニス・テン。世界的なフィギュアスケーター、享年25才。車のミラーをぬすむという、ちゃちな犯罪者に刺された。犯罪者にとっては、ミラーがあればよかったのだ。デニス・テンであることを、おそらく知らなか…

三種の神器って、平家物語で、海のもくずと消えなかったか?

三種の神器は、欠けている。ないはずだ。なくなったはずだ。壇ノ浦の戦いで。幼帝が入水するとき、ともに沈んだのだ。 御代がわりの話題のなかで、ふつうに「三種の神器」がでてきて、二度見した。あったっけ。なくなったのは虚構だったっけ。こういうとき、…

たたるほど、皇位が近づき、業苦であるほど、たたえられる早良親王。

先日、八所御霊神社でまつられていた、吉備大臣。つまりは吉備真備。 ▼この記事 このひとは、どうして、たたるひとたちに加えられているのか。どう考えても、徳川家康的な人生を送っている。そもそも、御霊メンバーがすごすぎるのだ。このメンバーにどうして…

春の夜の 闇はあやなし 梅の花 色こそ見えね 香やは隠るる

犬と四季 番外 和歌と四季 ▼本日撮った白梅 うちの家の梅は、はやい。毎年、センター試験のころに咲く。花期は長かった。なかなか散らない。高3のセンター試験のあと、華々しくもない結果をかかえて、よくこの梅をみた。一輪ずつ咲いていく。1月のこのころ…

七福神は、ほんとうに福をもたらしてくれるのか。わりとバイオレンスな神じゃないか。

七福神は、だいぶ謎である。こういう神仏道教の習合したものは、だいたいポリシーが一貫していない。たのしげに、ふくふくしく、ひとつの船におさまっているが、そりはあわなさそうである。ことばも通じなさそうである。どうしてあなたが。あなたの効能は、…

仏におけるリスクとリターン

荼枳尼天は、ひとの肝をもとめる。供物として。人肝をささげたら、成仏させてもらえる。ひとぎも。なかなかワイルドである。自分のではなく、おそらく他人の肝臓のようだ。けっこうなリスクをかけさせる仏である。そこはかとなく、インドのかおりがする。や…

アンコールワット記6:油断ならないアプサラダンスの舞姫と、プリンスダンコールの歌姫。

眼前で、蠱惑しながらそそのかす舞踏が、くりひろげられている。妖艶か、古拙かといえば、まちがいなく妖しい。誘って、まどわせて、くるわせて、堕落させる。むかしの舞姫は、神につかえて清浄たるか、王につかえて接待を担うか、神につかえて清浄たるふう…

アンコールワット記5:バンテアイ・スレイとプレルーフ落日と、炎上する美

ランチは、名高き高級店クロヤーへ。地球の歩き方にものっていたし、ツアーパンフにもわざわざ「クロヤーで昼食」と書いてあった。なにそのもったいぶった感じ。期待してしまうじゃないか。ふみいれると、わかりやすいラグジュアリー感。 なんと、ソファブラ…