エスパー魔美の高畑さんとは誰か。チンプイの殿下の正体は、結局なんだったのか。
きのう、消灯したベッドのなかで、唐突に思った。
エスパー魔美の高畑さんって、必要?
ねえ、いる?
ただの常識人じゃない?
▼右のこの人。見た目もふつう。ひだりがヒロインの魔美。
くらやみのなかで、考える。
藤子・F・不二夫作品に、常識人キャラって、いたっけか。
知識をもたらし、物語をおしすすめるキャラクターは必要である。
でも、単純な常識人は、そうでてこない。
おもしろみがないからである。
ドラえもんのドラミちゃん。
パーマンのパー子、星野スミレ。
まじめで、まっとうなことをいうだけのキャラじゃない。
ほかの属性をくみあわせている。
ヒロイン属性がはいっている。
ものがたりの推進力になるキャラクターは、ほかにもいる。
21エモンのゴンスケ。
憎めないトラブルメーカーが暴走し、いつのまにか話をころがす。
チンプイのワンダユウ。
王室につとめる宮廷人ながら、ほぼ誘拐に近しいことにまで手を染める。
常識人かと思いきや、厄災に近い。
それでいいのかマール星。
少年少女向けなので、藤子作品は、ガチャガチャわちゃわちゃしながら、ころがす傾向がつよい。
そんななか、ひときわ光る、ただの常識人。高畑さん。
見た目も冴えない、中学生。
あたまのなかみは出木杉くんだけど、中学生にしてこの貫禄。
不思議とおちついているので、せいぜい高校生くらいかと思った。
謎の達観。
ただし、エスパー魔美は、ほかの作品と異なる点がある。
ヒロインが、つぎつぎと異能力を発現させ、しかもそれをコントロールできない。
テレキネシス、テレポーテーション、クレヤボヤンス、テレパシー。
14歳のヒロインには、なにがおこっているのかわからない。
そのなかで、高畑さんが、必要だった、のか…?
高畑さんの素性が気になって、どうにもねむれない。
まぶたの上に、手のひらをあてると、眼がつめたい。
こんなしょうもない問答をはじめたおかげで、眼がらんらんとしている。
そこまで考えて、唐突に連鎖した。
チンプイの内木くんも、常識人だ!
内木くんってだれとお思いのみなさま、このひとです。
表紙にでてきているから、やはりヒーローポジションなんだろう。
ヒロインの片思いの相手。
ふつうにいい人。
藤子作品での描かれ方からして、たぶんイケメンあつかい。
ちょっと天然のはいった出木杉くん。
なんでそんな、キャラクターとしては平凡なひとを、ヒーローにもってきたのか。
それは、マール星の殿下がいるからです!
ヒロインに言い寄る、マール星の王子様。
顔面不明、合成音声のような声、なにも明かさないのに、強引に婚約を迫る、異星人。
どうやら、人間型のようではある。
そしてヒロインは、最終的に、妃におさまるようである。
殿下の正体はだれなのか。
なぜ殿下は、ヒロインを見初めたのか。
謎は明かされない。
なんと!
明かされないまま!
連載はおわった。
藤子先生は鬼籍に入られた。
しれっと終了しているが、現代において、最大の謎が回収されないまま、いちばんの伏線を放置したまま、結ばれるものがたりがあるだろうか。
おそろしい。
時代を感じさせる。
ドラえもんの最終回がないからって、ガタガタいってはいけない。
でもたぶん、内木くん=殿下なのである。
しらんけど。
この設定で、この展開で、殿下でないはずがない。
ヒロインは、終始、内木くんを思っているのである。
未来のヒロインは、妃殿下になっているのである。
イコールでなければ、この漫画のジャンルが変わってしまう。
そしてなぜ、わたしは、内木=殿下説を熱く語っているのか。
そもそも、なんの話だったのか。
寝るつもりだったのに、どうしてマール星に、思いを馳せているのか。
高畑さんのせいである。
でも、高畑さん類似と思われた内木くんは、伏線であるために、くせのない人物に描かれている。
はたして、高畑さんの謎はのこった。
きれいなジャイアン、高畑さん。
彼はいったい、なんだったのか。
▼これはきれいなジャイアン。似すぎ。高畑=きれいなジャイアン説!!!
▼それはそうと、チンプイめっちゃかわいい。うちで飼いたい。