ふみのや ときわ堂

季感と哀歓、歴史と名残りの雑記帳

京セラドームの深夜貸切。4時間20万円。

終電にのって集合する、きわめてヘルシーな、夜あそび。


アリーナに駆けいったとき、野球好きたちが、はっと息をのんだ。
息をのんだだけなのに、みずみずしさがこちらまで広がってきた。
こころから羨ましかった。
強い思い入れが、すこしばかり叶うときの、あまったるい一瞬だった。


レフトを守っている野球選手を好きな子が、いちもくさんに駆けていった。
左手奥のあたりを、転げまわっている。
文字どおり、ごろごろ転がっている。
「このあたり、歩いてたよね!?さわってるよね?」と満面の笑顔をむけてくる。


それから、観客席の近くまで走っていく。
アリーナすぐ上の席を見あげた。
その席から、数日前に、応援していたらしい。
「ここなら顔まで見えるよね?見えてたってことだよね?」と前のめりにいう。
同意しか、もとめられていない。

元野球少年の草野球青年が、ベースからベースを走っている。
エアーで強打をうったらしい。
まわりが手をぐるぐる回して、「ぬけた!」「いける!」と、はやしたてている。
草野球青年は、ホームベースまでたどりついて、ランニングホームランを飾っていた。
まわりとハイタッチしている。
思い入れって、ほんとうにすばらしい。
かえりぎわに嘘泣きをしながら、土をかきあつめるふりまでしていた。
エアー甲子園。


ところで、わたしはごつい望遠レンズの一眼レフをもっていたので、「おい広報!」と呼ばれまわっていた。
エアー広報部。
900枚くらいとったので、深夜手当ください。
5時ぐらいに、召されるかと思った。ねむすぎて。