ふみのや ときわ堂

季感と哀歓、歴史と名残りの雑記帳

名犬ホームズ

 人間の夜がおそいです。
となりにすわって、ねむっていました。
そろそろ犬のへやに帰ろうとしました。
人間はよびます。
「ほむちゃん」
もういちど、となりにすわりました。
しばらくして、犬のへやに帰ろうとしました。
人間はまたよびます。
「ほむちゃん」
もういちど、となりにすわりました。

なにもいわれなくても、わかります。
なまえをよんでください。

(愛犬ホームズ著『それが犬の生きる道』より)

あれ。

 

あれが光ると、きょうがおわります。
あれです。
みなさんも、そろそろおわりです。
犬といっしょにねましょう。
目がしぱしぱします。
ひとりにしないでください。

(愛犬ホームズ著『犬のもたらす薔薇色の日々』より)

はこび屋

犬のです。
ふわふわは、犬のです。
新入りもほしがります。
犬と新入りがとりあいます。
犬は、はこびます。
犬のだからです。

(愛犬ホームズ著『犬のもたらす薔薇色の日々』より)

相棒、去る。

あいぼうの、ここにあった花がいなくなりました。
魔が差して花を食いちらかしたり、いっしょにひなたぼっこをしていました。
「季節が去ったから」だそうです。
季節がいなくなったから、花もいなくなりました。

(愛犬ホームズ著『犬と四季』より)