ふみのや ときわ堂

季感と哀歓、歴史と名残りの雑記帳

あたたかなまなざし、とうめいな冷厳さ、ひとしずくの狂おしい哀惜

ところで、この思想家、ものすごく好きです。


この方の、『逝きし世の面影』。
文面からただよいでる、人間へのあたたかなまなざし、とうめいな冷厳さ、ひとしずくの狂おしい哀惜。
1行読むたびに、胸がつまって、ひと息おきたくなる。
ミネラルウォーターを流しこまれるように、さらさら読める。
なのに、その水が、胸のあたりで色づき、波打ち、染めいる。
くるしくなって、ほっと、ためいきをつく。
泣ける話ではぜんぜんなく、ものがたりですらない。
評論。まぎれもなく評論。
でも最初の1ページ目から、ずっとずっと、うっすら泣きながら読んだ。
まなじりをおさえ、おでこをもたせかけ、電車でしくしく泣いた。
上のヤフー特集の筆者のことばが感覚にあうようなら、ぜひに。
『逝きし世の面影』、おすすめです。

逝きし世の面影 (平凡社ライブラリー)

逝きし世の面影 (平凡社ライブラリー)