ふみのや ときわ堂

季感と哀歓、歴史と名残りの雑記帳

皆子山(971m)京都最高峰の、青のりの輝き

こどもが砂山をつくる。
ざんばらにスギを刺していく。
そのうち飽きる。
わすれ去る。
それから70年くらい経つ。
というような山だった。

 

上のほうは雑木林だったような気もしたけれど、ひたすらスギ!スギまたスギ!
足もと、ぜんぶスギの枯れ枝。
モミの木を大量虐殺して、うんざりするくらい上からふりかけた感じ。
なんや多すぎたけど、のこしておいてもしかたないし、かけとこかみたいな。
刻みのりを大量につくりすぎたみたいな。
のりをパッケージごとぶちまけたみたいな。
海苔の下がみえない。

この山を、遠くから見たら、川端康成の「古都」の北山杉のように、見えているんだろうか。
あおく遠く、峰と峰のあわいに、みどりが碧にぬけていく。
眼にあおいだけなのに、しろく清く胸腔がみたされていく。
畏怖を呼ぶような、あの陰影のすごみが、見えているんだろうか。
現地では青のりのようですが。

ほかに思い出といえば、いきなりの急登。直角二等辺三角形くらい。
土の斜面をのぼるとき、快感がかけあがっていく。脳内エンドルフィンが全身をかけめぐる。斜面であるというだけで、無上のよろこび。ぞくぞくする。登山でたのしいことはいろいろあるけど、まずエンドルフィンがやばいということを推したい。

 

▼ふきさらしの頂上に、わびしい感じの立て看板が。
京都最高峰なのに…
立て看板ごとに、標高の説がわれていておもろい。

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▼わらぶき屋根の、妻壁のところにある「水」
火事除けのまじないだそう。この一角はみんなこの「水」表示があった。

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▼下山したところにあるカフェ
バスは1日1本なので、下山から2時間半、することがない。
屋根はわらぶき、トイレはぼっとん、囲炉裏もあって、熊の毛皮もかかっていて、玄関先にはスズメバチの巣がかざってあった。
平成がおわろうとしているのに。昭和がはじまったところのような気配が。こういう時間軸がゆらぐのとても好き。足もとがぐらっとして快感。

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(足尾谷コース ↑↓515m ⇔10㎞)